今回のプロレスリング・ノアの三沢選手(社長)の事故については、いろいろと驚かされた。
もちろん事故そのものについてもそうなのであるが、むしろ三沢選手の事故に関するマスコミやファンの反響の大きさについて驚かされた。
「それだけ三沢選手が偉大だった」とも言えなくもないが、どーも自分の中ではその反応に違和感を感じる。
「たしかに三沢選手は偉大だったと思うが、たかだかいちプロスポーツ選手の事故だろ?なんでそんなに騒ぐんだ?」と。
いや、勘違いしないで欲しい。
プロレスファン歴30年、別に三沢選手を軽蔑しているわけではない。むしろ尊敬している。
その「違和感」というのは、「斜陽スポーツ」と言われ続け桧舞台から長らく遠ざかって日陰者扱いされてきた「プロレス」に対して、「なにをいまさら?」という違和感である。「えっ?プロレスってそんなに世間から注目を集めていたスポーツだったの?」と。
今回の事故の一因として「リングドクターがいなかった」とマスコミ経由で聞いている(ウラは取れていないが)。
「一歩間違えれば事故に至る危険なスポーツであるプロレスにリングドクターを付けないなんて言語道断!責任者出て来い!」と言いたいところだか、残念ながらその責任者である「社長」自身が事故に合ってしまったのだから皮肉なものである。
リングドクターの必要性は責任者であり選手でもある三沢社長自身がよーくわかっていたと思う。なのに敢えて「リングドクターを付けない」という経営判断をしたのか?その理由を考えてみて欲しい。
まーぶっちゃけ言えば「金」である。資金がなかったのだ。
今回の事故、もしかしたら資金が十分にあれば防げた事故かもしれないのである。もう済んでしまったことに「たら・れば」を言っても仕方ないのだが。
なぜ資金がなかったのか?
これもぶっちゃけて言えば、「ファンがお金を落とさなくなった」からである。
ファンがお金を出してチケットを買って会場に足を運ばなくなったからである。
十分な集客、十分な興行収入、十分なグッズの売り上げがあれば、団体の資金も安定し、リングドクターも付けられ、三沢選手の事故を防ぐこともできたかもしれないのである。
「三沢選手が事故にあって悲しい」と思ったファンの人は、もう一度胸に手を当てて思い返して欲しい。
「あなたは、最近お金を出してチケットを買って会場に足を運びましたか?」と。
いや、そこまでしなくてもいい。それはファンの誰もが出来ることではないから。
ならば、こう問おう。
「あなたがプロレス週刊誌を最後に買ったのはいつですか?」
「あなたがプロレスのテレビ中継を最後に見たのはいつですか?」
去年『週刊ゴング』が休刊し、この春日本テレビによるノアのテレビ中継も打ち切られた。
その直接的な原因は、やはり「ファンがプロレス雑誌を買わなくなった」からであり、「ファンがテレビ中継を見てくれなくて、視聴率が取れなかった」からである。
プロレスリング・ノアの選手やスタッフも表向きは「三沢選手の遺志を継ぎ、これからもがんばっていきたい」と言うかもしれないが、実際のところは
「同情するならチケットを買ってくれ!」
というのが本音なんだと思う。
あなたがファンとして三沢選手の事故を痛み入るのなら、もっとプロレスを盛り上げようじゃないですか!
チケットを買って会場に足を運んでプロレスを「生」で観戦しようじゃないですか!
自分たちに夢や希望を与えてくれたプロレスに対して、きちんと「お金」という対価を払って報おうじゃないですか!
・・・ということを言いたかったわけで。