2009年も残すところあと2週間ほどになりました。
んで、今年も結構な数のビジネス書を読んできたんですが、おおしまチョイスで「これはスゴい!」と思ったビジネス書を勝手にご紹介。
ノンフィクション部門
『システム統合の「正攻法」 世界最大6000人プロジェクト、三菱東京UFJ銀行「Day2」に学ぶ』
東京三菱UFJ銀行の完全システム統合(通称:Day2)の舞台裏を書ききった作品。
通常、金融システムの開発工程などは門外不出の極秘事項で、公に出てくるものではなかったのにもかかわらず、本作ではその一部始終が描かれている。
書き手の力量も素晴らしいが、この本を世に送り出しても良いとしたMUFGの英断に天晴れと言いたい。
「黒部ダム建設」にも匹敵する日本有史以来の大事業であるDay2。時が時なら『プロジェクトX』で取り上げられても良いプロジェクトなだけに、本書は「100年語りづがれていってもらいたい」1冊。
「IT業界」というとWeb系やネット系など、華やかで一攫千金みたいなイメージがどうしても付きまとうが、こんな泥臭い、血なまぐさい現場があってこそ、(金融機関に限らず)今の日本のインフラが支えられていることを一人でも多くの人に知ってもらいたい、と切に願う。
次点:『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質』(ナシーム・ニコラス・タレブ:著)
「不確実性」について解いた作品。
日本語訳が多少残念。英文が読める人はぜひとも原書で。
山形浩生さんによる翻訳だったら、文句なしにこっちを選んでました。
フィクション部門
『完全教祖マニュアル』架神 恭介 (著), 辰巳 一世 (著)
マーケティングやブランディングなど、ビジネス上でよく使われるフレームワークを使って、あなたも「宗教での成功者」=「教祖様」になろう!という、パロディ・ビジネス本の一種。
「イエス・キリストも、仏陀も、アッラーも、実はビジネスフレームワークに則って成功していた!」という事例を多く上げ、宗教もビジネスも”他の人を幸せにする”ことが最終目標であるという共通点を気づかされる。
多少ブラックユーモアが強すぎて、人によっては好き嫌いが分かれたり、「不謹慎!」と思われたりする作品かもしれないが、これから会社を辞めてフリーランスになろう、とか、パーソナル・ブランディングを鍛えていこうと考えている人には、多くのアイデアやヒントを与えてくれる一冊。
おまけに比較宗教学の基礎知識も得られるので、一石二鳥でお得感もあり。
おー、偶然にも『記録本』の鹿田尚樹さんもパワープッシュされていました。
http://www.yomugakachi.com/article/135772914.html
次点:『ジオン軍の失敗』岡嶋 裕史 (著)
「ガンダム」をお題に「イノベーションのジレンマ」を解いた作品。
うちのブログ経由で Amazon.co.jp でご購入いただいた冊数がトップでした。
自己啓発部門(笑)
『学問のすすめ 現代語訳』福澤 諭吉 (著), 斎藤 孝 (翻訳)
日本の自己啓発書の古典中の古典、『学問のすすめ』の現代語訳版。
今、巷に出回っている自己啓発系の書籍も、結局元ネタをたどれば最後はココに行き着くわけで。
160年も前にこんな素晴らしい自己啓発書が日本でもあったということに触れられただけで、自分が日本人であることを誇りに思える一冊。また、思わず襟を正してしまう一冊でもあり。
詳評は、こちらで。
http://d.hatena.ne.jp/oshimago/20090213
次点:『やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力』勝間 和代 (著)
読んでいたらたぶん1位。まだ読んでないので次点(笑)。