『ジオン軍の失敗』(岡嶋裕史:著 講談社アフタヌーン新書)という新書を本屋で見かけました。
なにげなく立ち読みでパラパラめくっただけなんですが、ぶっちぎりでおもしろかったので速攻で購入。
以下、裏表紙の説明文から抜粋。
失敗する製品が世に出てしまうのはなぜか?
エンジニアはもちろん、広く製品開発に携わる人間ならば誰しもが直面するその論点を、『機動戦士ガンタム』から学ぶ画期的書籍です。
現役エンジニア層にとっては、歴史よりも定石よりもリアリティを感じることができる題材で、「失敗する製品」を生み出さないための叡智を得よう。
立てよ!エンジニアよ!
いわゆる『ガンダム』パロディ物なんですが、その懲りようが半端ないっす。
例えば「MS-06F」を解説している章では、
・・・あっ、いわゆる「ザクII」のことね。
あまりにも万能だったザクIIに固執したがゆえに、次世代兵器への対応が遅れた。
どんなにマイナーチェンジを繰り返そうとも、旧世代機は旧世代機でしかなかったのである。
(中略)
また、成功体験が長期的な失敗を誘発することはままある。
これって、まんま「イノベーションのジレンマ」じゃないですか?!
他にも「MS-06R」(高機動型ザクII)については、
ドムやゲルググなどの次期主力モビルスーツがすでに生産体制に入っていた時期に開発工程がすすめられていたことは、戦争という巨大な消費機構の中で、生産ラインを増やす罪は大きい」
「MS-07」(グフ)については、
少しでも戦闘環境が設計範囲を外れると非常に運用しにくい構造があることがわかる。戦場という予測不可能性の極めて高い環境で運用するには、不利な機体であったといえよう。
などなど、名分析の事例が多く載っています。
もちろんアニメを作った当時のスタッフはそんなことは考えず、本書の著者の後から取って付けた屁理屈なんでしょーけど、屁理屈もここまで出来ればたいしたもんです。『ガンダム』への愛を感じます。
エンジニア、特にメーカー系のエンジニアの人、それと経営学を学んでいる人は、「事業失敗のケーススタディ」*1として一読してみることをオススメします。今度、どこかの読書会でオススメしてみよう。